田舎暮らしの買物事情

 田舎暮らしをしていると、買い物が不便なのでは?と心配されることが良くあります。確かに「お買い物」は田舎暮らしで不便なことのひとつではあります。しかし、それは理想的な便利さと比べての事。「もっと○○だったら」とは誰もが考えることなので、「100%満足はしていない」ってだけの事なんです。

 “やせ我慢”、“自分を納得させているだけ”ぐらいのことは言われそうな気がしますが、そんな田舎暮らしの買物事情をご報告したいと思います。

<目 次>
(1)田舎暮らしのお買物事情
(2)田舎暮らしの新しいお買い物イメージ
(3)それでもちょっと気になること


(1)田舎暮らしのお買い物事情

 田舎暮らしには「不便な場所をわざわざ選んでいる」とか、「自給自足がしたい」とか言ったイメージがくっついていて、「買い物の不便さなど語るべからず」と思われるかもしれませんが、「田舎暮らサー」がすべて自給自足を目指しているかと言えば決してそうではありません。実際に田舎暮らしをしている人のほとんどは、積極的にそうした暮らしを選んだわけではないので、大多数の“田舎暮らサー”は都会への憧れも持っているし、今以上の便利さも求めています。

 田舎とは言っても、人が多く暮らしているところは、以前は町場だったというところが多く、それなりに商店がありました。私が暮らす田舎町でも、10~20年程前にさかのぼってみると、生鮮食料品屋、荒物屋、本屋、米屋、酒屋、電器屋、和菓子屋、駄菓子屋、桶屋、仕出し屋、蕎麦屋、定食屋、呉服屋、服屋、寝具店などなど、実にたくさんの商店がありました。歩いて15分くらいの範囲に。

 確かに、テレビで紹介されるような下町情緒豊か、そして賑わいのある商店街という訳ではありませんが、それぞれの商店とは古くからの付き合いがあって、気心が知れた存在でもありました。「今日は旦那さんが好きな○○が入っているよ」なんて声がかけられることもあったそうですから。

 最近、そうした付き合いのあった商店がどんどん廃業してきているのは事実です。その主な理由は、近隣へのスーパーマーケットやショッピングセンターの進出による売り上げの減少、そして後継者の不在なのだそうです。

 それはそうかもしれません。車で10分程行けばいくつかのスーパーマーケットがあり、さらに20分も走れば大型のショッピングセンターに行くきつきます。ショッピングセンターの周辺にはホームセンターや家電量販店などもあって、これらみ気軽に利用することができるからです。

 さらに、休日ともなれば1時間ほど電車や車に乗って、都心部にある百貨店やショッピングモールにもいくこともできます。

 おそらく都会に暮らしてらっしゃる方や、新興住宅地や団地であれば同じような事情なのではないでしょうか。

 なので、確かにこれまで地域を支えてきてくれてきた個々の商店の皆さんには申し訳ないのですが、大きな不便さは感じていないのです。

 確かに、「車をつかえなくなったらどうするの?」とか、「10分、15分歩くの大変」というお年寄りの声もあります。それもその通りなのですが、先ほども書いた通り、たぶんそれは都会に暮らすお年寄りも同じなのではないでしょうか。

※これは買い物に限った話で、医療などの分野では都会と田舎の差は大きいかもしれません。


(2)田舎暮らしの新しいお買い物イメージ

 「都会×田舎」の便利さ対決をすることは私の本意ではありません。「それなりに満足はしていても」、「もっと○○であれば」と考えるのは人情です。むしろ、「もっと○○であれば」と願う気持ちを満足させてくれる可能性があるかどうかなのです。

 そういう意味では、田舎暮らしでは、もっともっとネットショッピングを利用すべきだと思うのです。

 最近のネットショッピングは、便利さだけで考えれば近くにあるスーパーマーケットやショッピングセンター以上で、商品は豊富。決済はクレジットカード。早ければ当日中、遅くとも翌日か翌々日には宅配してくれます。

 産地直送の生鮮食料品宅配サービスも人気で、全国各地の良い食材を手に入れることもできます。

 高級品や進物であっても、百貨店系のネットショップサイトを利用すれば、高級品であっても、それぞれの百貨店の包装紙に包まれて送られてきます。

 私のように自宅で仕事をしていると、忙しい時に限って必要な事務用品がなくなってしまうということが良くあるのですが、忙しい時に買い物に出なくてもネットで注文すれば、多くは翌日には配達されてきます。

 私の周りにも、お米や飲料水、トイレットぺーパーといった重かったりかさばったりするものは、もっぱらネットショッピングを利用するという人がいます。

 なので、ネットショッピングをうまく活用すれば、田舎暮らしの買物事情も大きく変わってくるだろうと思うのです。

※ネットショッピングの利用は、今般のコロナウィルス感染拡大による外出自粛によって、加速度的に増えているようです。


(3)それでもちょっと気になること

 それでもやっぱり、お年寄りの利用には少し気になることも。注文に使うパソコンやタブレット、携帯電話などの使い易さはまだまだですし、決済に必要なクレジットカードを使わない、あるいは使えないお年寄りもいると思います。そして、お年寄りを狙う詐欺集団がいることも心配です。

 ネットショッピングは移動手段を持たないお年寄りに最も効果的な買い物方法になると思うので、ぜひ安全に、安心して使えるシステムが開発されていくことを願います。

 そして、もう一つは日々のお買い物がネットショッピングなどで楽に、便利になったとしても、やはり実際に物を見て買う楽しさは失いたくないということです。そう遠くない未来、バーチャルリアリティ技術の進展で、商品の大きさや重さなどを仮想体験できるようになりそうな気がしますが、そんな便利さはあったとしても、どこかにアナログが残っていてほしいと思うのです。

 どこまでも便利さを求める一方で、不便さも懐かしむ。人間って贅沢ですね。